アジア各国の学生と共創する「ACEプログラム」
第3期生 成果報告会レポート——第3期生からの報告

国際化推進機構

2026/03/26

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

立教大学の国際化戦略の一環として2021年度からスタートした「ACEプログラム※」。ソウル大学校、北京大学、シンガポール国立大学の3大学と連携し、リベラルアーツ教育を基礎としつつ、現代のアジアや国際社会の諸課題について思考し、行動できる人材を育成することを目的としています。2026年1月31日、プログラムを修了した第3期生6人による成果報告をご紹介します。

※ACEプログラム:「リベラルアーツ教育」を共同テーマとした大学間国際コンソーシアム「The Asian Consortium for Excellence in Liberal Arts and Interdisciplinary Education(The ACE)」の中核を担うプログラムの総称。2021年度文部科学省「大学の世界展開力強化事業~アジア高等教育共同体形成促進」に採択。
報告は主に5項目について行われました。①ACEプログラムにおける学修?学生交流の総括 ②6つのコアスキルに関する「ACE Common Rubric」を用いた自己評価 ③リベラルアーツへの理解 ④プログラム修了後のキャリア目標 ⑤その他、特筆したいこと。

※ACE Common Rubric:ACEプログラムが設定する、Cではじまる6つのコアスキル(Critical Thinking, Collaboration, Communication, Consilience, Challenge, Cosmopolitan)に基づく評価指標。

ヴー ゴック イェン チャンさん 経営学部3年次

2024年の秋学期はシンガポール国立大学のNUSカレッジへ、2025年の春学期は中国の北京大学へ留学し、さらに2回のインテンシブプログラムに参加しました。

NUSカレッジでは、私たちの創造性や批判的思考を掻き立てる多様な科目を提供していました。最も感銘を受けたのは、ヒップホップ?ミュージックの歴史に関する講義です。ディスカッションやクリエイティブな課題を伴うゼミ形式の授業で、最終課題は「自分自身のラップソングを作り、クラス全員の前で発表する」というものでした。この経験を通して、音楽がいかに世界の歴史や政治と関連しているかに気付かされました。

英語のレベルは高く、授業についていけているか不安になることが時々ありました。しかし、この経験から学んだのは、コミュニケーションに凝った言葉は必要ないということです。人それぞれ表現方法は異なり、洗練されているように見せることよりも、誠実であることの方が重要なのです。

北京大学ではビジネス関連や、心理学の要素を取り入れた組織行動論の学びに注力。授業では英語コースのみを選択しましたが、放課後や友人と話す際など、自主的に中国語の学習に取り組みました。その結果、HSK(漢語水平考試)4級を取得することができたのです。言語学習は、日常的な使用を通じて自然に、新鮮な状態で取り入れるのがベストだと信じています。これは世界で最も習得が難しい言語の一つである日本語を学んだ私自身の経験からも言えることです。

ACEプログラムを通じて、リベラルアーツに対する私の理解はさらに深まりました。私にとってリベラルアーツとは、「多様な文化や学問的視点を統合し、グローバルな文脈において柔軟な判断力と効果的なリーダーシップを養う能力」を意味します。

ACE Common Rubricに基づく自己評価では、特にCritical Thinkingの能力が大幅に向上しました。そして現在、ACEで身に付いたスキルが、学業の場だけでなく、日本で暮らす留学生としての日常生活においても役立っていると実感します。

次にACEに参加する学生に伝えたいのは「留学の成果を最大化するために、コンフォートゾーン(快適な場所)から一歩踏み出してみよう」ということです。その勇気を持つために、多くの情報を集め、体調管理に気を配り、常に自分の意見を表現する準備をしておいてください。また、留学先の国を旅行したり、大学内のイベントに参加したりすることもおすすめします。最も重要なことは、現地の人々や他の留学生と知り合うことです。このような強力なネットワークが生まれる機会はそう多くありません。留学の機会を最大限に生かしてほしいと願っています。

遠藤 優花さん GLAP3年次

シンガポール国立大学と北京大学でのセメスター留学に加え、北京と韓国でのインテンシブプログラムを経験しました。

シンガポールでは、シンガポール国立大学と同大学内のNUSカレッジの授業を履修しました。大学で受けた授業は約200人と大人数で、2週間に1回チュートリアルを受け、チームでプロジェクトに取り組むというもの。一方、NUSカレッジでは、少人数クラスでのディスカッションベースの授業が中心でした。特に印象に残っている授業は、NUSカレッジで履修した「Social Design and Worldmaking」です。最初はホワイトボードにリーディングで感じたことや各々の考え、意見を書きながらディスカッションを行います。その上でフィールドワークに臨み、そこで得た学びを教室に持ち帰って再度、議論します。法律や生物、科学など多様な分野を専攻する学生たちと、異なる視点から意見を交わした時間は貴重な経験になりました。

北京大学での授業は、中国語で行われるものがほとんどでした。プレゼンテーションはなく、毎回先生のレクチャーを聞いて最後にテストを受ける授業スタイルは、私にとって新鮮でした。授業時間外に、ピクニックでベトナム料理の試食会を企画し、現地の友人たちと楽しい時間を過ごしたのも良い思い出です。また、大学内には大きな劇場があり、ショーの公演や映画の上映などを通して中国の文化?芸術に触れる機会にも恵まれました。

続いて、ACE Common Rubricの自己評価についてです。異なる専門性を持つ学生と一緒にプロジェクトに取り組み、別の視点からの意見を聞くことで、「Consilience」(知の統合)を体感できたと思います。未知の環境に挑戦する姿勢や、多様な環境への適応力を磨けたという実感もあります。

プログラムを終えた今、私にとってのリベラルアーツの学びとは、視点によって問題の答えを変えていくこと、そして常に「なぜ」と問い続けることだと感じています。今後はグローバルな舞台で、多様な価値観をつなぐ存在として社会に貢献していきたいです。

川名 彩音さん 異文化コミュニケーション学部3年次

私は、第1セメスターを北京大学、第2セメスターをソウル大学校で過ごしました。インテンシブプログラムも含め、4回もの渡航を経験しています。

北京大学では日本人学生会に所属し、国際文化祭でソーラン節を披露したことが思い出深いです。何十もある出店を見て、いかに大学の規模が大きく、多様な学生が集まっているのかを肌で感じました。印象に残っている授業は、「English News Reading」です。事前に英語で開講されると聞いていましたが、実際には全て中国語で行われており、意図せず中国語学習に力を入れることに。授業では、中国誌やBBCなどの海外誌を講読し、ニュースを適切に理解するための方法を学びました。また、中国やモンゴルの学生とグループでニュース動画を制作する課題を通して、渡航前に抱いていた中国への印象が変わり、異文化に対する考え方が大きく変化しました。

ソウル大学校で受講した「College English 2: Speaking」の授業では「自分以外の学生はみな韓国人」という、あえて自分のフィールドから外れた環境に身を置きました。実践的な学びから、多くの収穫を得たように思います。日本の「わびさび」を個人プレゼンテーションの題材とし、韓国のクラスメイトから良いリアクションをもらえたことが印象に残っています。留学中には、原因不明の腹痛で救急搬送されるという経験も。しかし、異国で自ら救急車を呼ぶという行動を経て「案外、自分一人でも生きていけるんだ」と成長を感じました。ソウル滞在中の一人暮らしの経験は、殻を破って独り立ちするきっかけになりました。「SNU BUDDY」という交換留学生文化交流団体でのイベントを通じ、留学後も連絡を取り合えるような友人と出会えたことも印象的でした。

次に、リベラルアーツへの理解についてです。以前の私は、リベラルアーツを「広く浅い知識」と認識していました。しかし、北京大学で苦手な経済学や経営学の授業に挑戦し、未知の部分に目を向けて多角的に学んだことで、自分の中の「当たり前」を疑う力が養われました。今は、これこそがリベラルアーツだと実感しています。

ACE Common Rubricのコアスキルでは、Critical Thinking、Communication、Consilienceの3点が特に成長したと感じていて、論理的に考え、異文化を多角的に理解し、複合的に結びつける力が身に付きました。今後も、先入観や固定観念にとらわれず、何事にもチャレンジし続け、持続的なグローバル社会の構築に尽力したいと考えています。

権 飛錫さん GLAP4年次

私は、ソウル大学校とシンガポール国立大学へのセメスター交換留学に加え、サマーインテンシブプログラムに参加しました。

ソウル大学校では「新たな学問領域に挑戦しよう」という目標を掲げ、「経済学入門」「開発途上国研究」「映画研究」「スポーツテクノロジー」と、全て異なる領域の授業を履修。多様な背景を持った学生との対話を通じ、新たな発見ができる素晴らしい環境に恵まれました。

その後、シンガポール国立大学のNUS カレッジに留学。一つのテーマについてじっくりと議論し、自分なりに解釈して言語化するプロセスを何度も経験し、「これこそ私にとってのリベラルアーツだ」と感じました。ハイレベルな学生に刺激を受け、新たな視点で物事をとらえられるようにもなりました。

最後に参加したのは、ソウル大学校でのサマーインテンシブプログラムです。「アジア文化の再現」というテーマで、国や大学など異なるバックグラウンドを持つ学生たちが、各々考えたことを言語化し、プレゼンテーションするという、とてもリベラルアーツらしい学びが経験できたと思います。

ACE Common Rubricの自己評価については、留学前後で大きな変化がありました。留学前は自己評価でSuperiorが目立ち、よく言えば自信がある、悪く言えば視野が狭い状態でした。しかし、留学後に過去の自分と周りの学生を比較した結果、Superiorが減り、ExcellentやGoodが増えました。これは学問への態度が不真面目になったわけではなく、「自分にはまだ伸び代がある」と考えた結果です。特に「Collaboration」で成長を実感しています。以前の私は、チームで取り組む課題において、全員の良いところだけをつなぎ合わせて完成度の高い内容にすることばかりを目指していました。しかしそれゆえに、新たな発見や考え方が全くできなくなっていました。留学を経験してからは、一歩下がってメンバーと議論を重ね、新しい発見やものの見方ができるようになりました。

ACEプログラム修了後、立教大学の留学生バディプログラムに応募し、日本に来る留学生のために忘れられない思い出をつくりたいと考えています。リベラルアーツの学びを大切に、一人ひとりの違いを誠実に理解し、尊重しつつ、境界線を越えてより良い社会を築きたいという大きな目標ができました。

肥田 理彩子さん GLAP4年次

北京大学とソウル大学校で、言語や自身の関心領域である芸術?音楽を軸に学びを深めました。

北京大学では、「映画音楽」や「美術理論入門」の授業を選択。「映画音楽」では、音楽や効果音と映像の関係性、音楽分析、専門用語など学び、帰国後の卒業論文執筆にも大いに生かすことができました。課外活動ではピアノクラブに所属し、現地に来ている留学生に向けたレッスンを担当。この経験は、音楽と社会の関係性や、音楽を用いた国際文化交流の可能性を考えるきっかけになりました。中国での生活で驚いたのは、想像以上に英語が通じなかったことです。「Business Chinese」の授業を受講していたものの、それだけでは不十分と感じ、自ら大学近くの語学学校に通って中国語を勉強しました。

次に留学したソウル大学校では、「民族音楽学入門」や「世界の音楽」を受講。韓国や世界の民族音楽について、さまざまな国籍の留学生たちとのディスカッションを通じて学ぶことができました。同時期には韓国の大統領選挙が行われ、選挙活動やデモの空気感を直接肌で感じられたのも貴重な経験でした。友人同士で政治の話をし、各々が確固たる意志を持っている姿を見て、日本との違いを実感したものです。

渡航前は、日中関係、日韓関係に関する偏った情報をSNSなどで目にする機会が多かったのですが、実際に現地で生活してみると、そうした情報がいかに表面的だったかが分かりました。両国ともに日本人に対して好感を示してくれて、日本文化への理解や関心も高かったのです。インターネット上の情報だけ依存せず、直接現地に足を運び、そこに暮らす方々と関わることの大切さを痛感しました。

ACE Common Rubricの自己評価では、「Communication」と「Cosmopolitan」の面で特に成長を実感しました。日本語と英語に加え、新たに習得した中国語と韓国語を使って現地の方とコミュニケーションをとったことで、視野が広がったと感じています。

私にとってリベラルアーツとは、学び続ける姿勢を体現し、幅広い知識と異文化理解、社会洞察を基盤に、多様な意見を尊重?統合しながら共に成長していく力を身に付ける学問だと考えています。卒業後は大学院に進学し、音楽を用いた国際交流や多文化共生社会における音楽の有用性について、研究を進めていきたいです。

藤井 玲奈さん 経営学部3年次

立教大学では経営学部に所属しています。ACEプログラムではソウル大学校とシンガポール国立大学に留学し、経営学以外の多様な授業を履修しました。

ソウル大学校では、これまで学びたかったけれども学べなかったスポーツ、フィルムアート、脳科学などの未知の分野にチャレンジしました。特に印象に残っているのは「Economic Geography」の授業です。世界経済を産業や政策、人の移動から捉え、日本が世界に与えてきた影響や、日本が抱える問題を他国の視点で考えることができ、大変有意義な時間となりました。

学生交流の中で最も印象に残っているのは、現地の学生が留学生をサポートしてくれる「SNU BUDDY」という学生団体での活動です。現地生や留学生と一緒に観光地に行ったり、韓国文化を体験したりしました。欧米からの留学生たちと政治や宗教といったテーマで深い話ができたことも貴重な経験になりました。

シンガポール国立大学では、ソウル大学校で興味を抱いたフィルムアートをより深く学ぶため、「Documentary Filmmaking」や「Introduction to Poetry Writing」の授業を履修しました。「Documentary Filmmaking」の授業では、チームメンバーの家族が道教の葬儀のディレクターだったことから、そうしたニッチな分野の仕事に迫るドキュメンタリー映像を制作しました。実際に葬儀に出席し、納棺士の方々に取材した経験は、普段の学生生活では見えない世界を知る、貴重なものとなりました。

ACE Common Rubricの自己評価では、多くの項目で成長を実感しています。「Collaboration」については、ドキュメンタリー映像の制作を通して、自らチームを動かすリーダーシップが高まりました。また、「Consilience」に関しては、経営学以外の学問に多く触れたことで、物事を多角的な視点からとらえ、解像度を高める力が養われたと感じます。

私にとってリベラルアーツとは、知識の引き出しを増やして、自分の選択肢を広げることだと考えています。学業だけでなくキャリアや人生の幅を広げられる学問だと、留学を通して実感しました。

アジアの国々の成長や、日本が世界に与える影響を改めて実感したことから、卒業後はコンサルティング会社で、日本企業の持続的成長に貢献したいと考えています。残りの学生生活でも、資格取得や海外インターンシップにチャレンジしたいです。留学は手を伸ばした分だけチャンスを得られる機会です。後輩たちには、やりたいことを言葉にしながら、どんな機会にも思い切って飛び込んでほしいと思います。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

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